1. (精神保健福祉の原理・事例問題)
次の事例を読んで,問題110について答えなさい。
〔事 例〕
H精神保健福祉士は,N町に古くからあるU病院に20年以上勤めており,地域の協議会のメンバーでもある。U病院に20年以上入院している統合失調症のJさん(63歳,女性)は,最近病院でピアサポーターの話を聞き,「私も退院できるかな」と口にするようになった。病状も安定しており主治医も退院に向けての準備ができると考えたため,H精神保健福祉士の支援で,JさんはV事業所の地域移行支援事業を利用して退院の準備を進めることになった。Jさんは一人での生活には不安があり,グループホームへの退院を希望していた。しかし,N町には入居可能なグループホームがなく,V事業所担当者のK精神保健福祉士は隣町のグループホーム利用を勧めた。Jさんは「自分が育ったN町に住みたい」と述べており,K精神保健福祉士はどうするべきか,Jさんと一緒にゆっくり考えていくつもりだった。しかし上司から「ほかの利用者もいるのだし,効率的に進めるように」と促され, どうすればよいか悩んでいた。(問題110)
ちょうどその頃,N町にW社会福祉法人がグループホームを立ち上げようとしていたが,地域住民の反対にあい,難しくなっている状況が生じていた。Jさんの退院先が決まらないという話を聞いていたH精神保健福祉士が,W社会福祉法人に連絡をとると,担当であるL精神保健福祉士が憔悴しきった様子で状況を説明してくれた。自治会を通して住民への説明を丁寧に行っていたが,地区にある小学校のPTAが反対を示したということだった。この話を聞き,H精神保健福祉士は,地域の協議会でピアサポーターも含めた多職種によるチームづくりを提案し,問題の解決に取り組んだ。
その後H精神保健福祉士は,協議会のチームの活動状況をJさんや主治医に説明し,K精神保健福祉士とも協力してJさんの退院準備を開始した。
問題 110 次のうち,K精神保健福祉士がこの場面で抱いている倫理的ジレンマとして,適切なものを1 つ選びなさい。
問題 110 正答 4
1 適切でない。
相反する複数の倫理的根拠が存在し, どうするべきかと葛藤することを倫理的ジレンマという。クライエントの自己決定は尊重されるべき重要な価値だが,その決定が本人に脅威を与える可能性があるとき,クライエントの保護を理由に自律性を制限するパターナリスティックな考えが生じることがある。この場面では,K精神保健福祉士はクライエントの自己決定を大切に扱おうとしているため,適切でない。(『精神保健福祉の原理』中央法規出版,p.247,pp.268~271)
2 適切でない。
クライエントの秘密の保持は,精神保健福祉士の倫理綱領や,精神保健福祉士法に規定がある精神保健福祉士として守るべき倫理であり,義務である。しかし,秘密を保持することで第三者に危害が及ぶ可能性がある際に,その秘密をどうするべきかについてジレンマが生じることがある。この場面では, Jさんの秘密についての話題はあがっていないため, 適切でない。(『最新 社会福祉士養成講座・精神保健福祉士養成講座⑪ソーシャルワークの基盤と専門職[共通・社会専門]』中央法規出版,2021年(以下『ソーシャルワークの基盤と専門職[共通・社会専門]』中央法規出版),pp.192~195,『精神保健福祉の原理』中央法規出版,pp.268 ~271)
3 適切でない。
「専門職としてこうあるべき」という専門職としての倫理や価値と,ソーシャルワーカー自身が生きてきた中で育まれた価値観が相反するときにジレンマが生じることがある。この場面では,K精神保健福祉士個人の価値観についてふれられてはおらず,適切でない。(『ソーシャルワークの基盤と専門職[共通・社会専門]』中央法規出版,pp.192~195,『精神保健福祉の原理』中央法規出版,pp.268~ 271)
4 適切。
精神保健福祉士の多くは,被用者として組織に雇用され,実践を行っている。各組織にも使命があり,組織の運営のために活動が行われているため,クライエントの利益と組織の利益にはさまれるジレンマが生じることがある。K精神保健福祉士は,Jさんの自己決定を尊重するために十分な時間をとりたいと感じているが,所属している組織の方針とは相反するためジレンマに陥っている。(『ソーシャルワークの基盤と専門職[共通・社会専門]』中央法規出版,pp.192~195,『精神保健福祉の原理』中央法規出版,pp.268~ 271)
5 適切でない。
精神保健福祉士の実践では,制度・政策によって実践が規定されることがあるが,本事例では地域移行支援事業の活用やグループホームの活用という点が,Jさんの利益と矛盾しているわけではないため,適切でない。(『ソーシャルワークの基盤と専門職[共通・社会専門]』中央法規出版,pp.192~195,『精神保健福祉の原理』中央法規出版,pp.268~ 271)
問題 110 正答 4
1 適切でない。
相反する複数の倫理的根拠が存在し, どうするべきかと葛藤することを倫理的ジレンマという。クライエントの自己決定は尊重されるべき重要な価値だが,その決定が本人に脅威を与える可能性があるとき,クライエントの保護を理由に自律性を制限するパターナリスティックな考えが生じることがある。この場面では,K精神保健福祉士はクライエントの自己決定を大切に扱おうとしているため,適切でない。(『精神保健福祉の原理』中央法規出版,p.247,pp.268~271)
2 適切でない。
クライエントの秘密の保持は,精神保健福祉士の倫理綱領や,精神保健福祉士法に規定がある精神保健福祉士として守るべき倫理であり,義務である。しかし,秘密を保持することで第三者に危害が及ぶ可能性がある際に,その秘密をどうするべきかについてジレンマが生じることがある。この場面では, Jさんの秘密についての話題はあがっていないため, 適切でない。(『最新 社会福祉士養成講座・精神保健福祉士養成講座⑪ソーシャルワークの基盤と専門職[共通・社会専門]』中央法規出版,2021年(以下『ソーシャルワークの基盤と専門職[共通・社会専門]』中央法規出版),pp.192~195,『精神保健福祉の原理』中央法規出版,pp.268 ~271)
3 適切でない。
「専門職としてこうあるべき」という専門職としての倫理や価値と,ソーシャルワーカー自身が生きてきた中で育まれた価値観が相反するときにジレンマが生じることがある。この場面では,K精神保健福祉士個人の価値観についてふれられてはおらず,適切でない。(『ソーシャルワークの基盤と専門職[共通・社会専門]』中央法規出版,pp.192~195,『精神保健福祉の原理』中央法規出版,pp.268~ 271)
4 適切。
精神保健福祉士の多くは,被用者として組織に雇用され,実践を行っている。各組織にも使命があり,組織の運営のために活動が行われているため,クライエントの利益と組織の利益にはさまれるジレンマが生じることがある。K精神保健福祉士は,Jさんの自己決定を尊重するために十分な時間をとりたいと感じているが,所属している組織の方針とは相反するためジレンマに陥っている。(『ソーシャルワークの基盤と専門職[共通・社会専門]』中央法規出版,pp.192~195,『精神保健福祉の原理』中央法規出版,pp.268~ 271)
5 適切でない。
精神保健福祉士の実践では,制度・政策によって実践が規定されることがあるが,本事例では地域移行支援事業の活用やグループホームの活用という点が,Jさんの利益と矛盾しているわけではないため,適切でない。(『ソーシャルワークの基盤と専門職[共通・社会専門]』中央法規出版,pp.192~195,『精神保健福祉の原理』中央法規出版,pp.268~ 271)
問題 110 正答 4
1 適切でない。
相反する複数の倫理的根拠が存在し, どうするべきかと葛藤することを倫理的ジレンマという。クライエントの自己決定は尊重されるべき重要な価値だが,その決定が本人に脅威を与える可能性があるとき,クライエントの保護を理由に自律性を制限するパターナリスティックな考えが生じることがある。この場面では,K精神保健福祉士はクライエントの自己決定を大切に扱おうとしているため,適切でない。(『精神保健福祉の原理』中央法規出版,p.247,pp.268~271)
2 適切でない。
クライエントの秘密の保持は,精神保健福祉士の倫理綱領や,精神保健福祉士法に規定がある精神保健福祉士として守るべき倫理であり,義務である。しかし,秘密を保持することで第三者に危害が及ぶ可能性がある際に,その秘密をどうするべきかについてジレンマが生じることがある。この場面では, Jさんの秘密についての話題はあがっていないため, 適切でない。(『最新 社会福祉士養成講座・精神保健福祉士養成講座⑪ソーシャルワークの基盤と専門職[共通・社会専門]』中央法規出版,2021年(以下『ソーシャルワークの基盤と専門職[共通・社会専門]』中央法規出版),pp.192~195,『精神保健福祉の原理』中央法規出版,pp.268 ~271)
3 適切でない。
「専門職としてこうあるべき」という専門職としての倫理や価値と,ソーシャルワーカー自身が生きてきた中で育まれた価値観が相反するときにジレンマが生じることがある。この場面では,K精神保健福祉士個人の価値観についてふれられてはおらず,適切でない。(『ソーシャルワークの基盤と専門職[共通・社会専門]』中央法規出版,pp.192~195,『精神保健福祉の原理』中央法規出版,pp.268~ 271)
4 適切。
精神保健福祉士の多くは,被用者として組織に雇用され,実践を行っている。各組織にも使命があり,組織の運営のために活動が行われているため,クライエントの利益と組織の利益にはさまれるジレンマが生じることがある。K精神保健福祉士は,Jさんの自己決定を尊重するために十分な時間をとりたいと感じているが,所属している組織の方針とは相反するためジレンマに陥っている。(『ソーシャルワークの基盤と専門職[共通・社会専門]』中央法規出版,pp.192~195,『精神保健福祉の原理』中央法規出版,pp.268~ 271)
5 適切でない。
精神保健福祉士の実践では,制度・政策によって実践が規定されることがあるが,本事例では地域移行支援事業の活用やグループホームの活用という点が,Jさんの利益と矛盾しているわけではないため,適切でない。(『ソーシャルワークの基盤と専門職[共通・社会専門]』中央法規出版,pp.192~195,『精神保健福祉の原理』中央法規出版,pp.268~ 271)